そばの道具 其の3 そば切り包丁
○そば切り包丁
そば包丁ともいう。
そば専用の包丁は古くからあり、刃幅のきわめて広いのが、その特徴である。
元禄9年(1696)刊の「茶之湯献立指南」に、すでにそば切り包丁として独立したものとして紹介されており、天地幅の約3倍が切り刃、
全長が約5倍で、この形態のものは、今日でも地方にみうけられる。
そばの産地では、古来そば打ちは、主婦の仕事であったので、小型で軽いものが使われた。福島県南会津地方の裁ちそばは、群馬県利根地方
の引きそばなどは菜切り包丁である。
その他、東北地方にナギナタ型のものや、福島地区には長方形の上部中央に穴をあけて握り手となっているものもある。
また、まき割り包丁といった、大玉の荒打ち向きの重くて大型のものもあり、実に千差万別である。
写真で紹介したそば切り包丁は、最も洗練された典型的なもので、江戸時代中期から今日まで続いている。
一般に刃は片刃で、柄の部分は、木製の柄をつけたもの、あらなわで巻いたもの、さらには高価なものになると、刃の柄に使われる白鮫の皮
を使ったものなどがある。白鮫の皮は、手がすべらず、がっちり喰いついてくるような感じで、ことに使いやすい。
包丁は、その重さばかりで切るものではない。切り刃とからだ全体を利用して切るもので、そのため、目方のバランス、つまり重心の位置が
大切である。
重心は包丁の長さの中心か、中心からやや手許にあるものが使いやすい。
そば切り包丁は、幅11cm、長さ33cm、重さ1kgが標準的。長さ33cmは、そばを約7寸の幅にたたむので、一尺くらいが
切りやすい長さとなる。
包丁の切れ味も大事で、時々研石で研ぐ必要があるが、専門家に任せた方がよい。
よく手入れされたそば切り包丁を使えば、細打ち、太打ち、変わりそばなど、迅速にして、かつきれいな仕事ができる。
【そばの基本技術 日本麺類業団体連合会 柴田書店より】











